辻利茶舗の歴史

辻利の創業者 『辻利右衛門』

辻利右衛門は創業萬延元年(西暦1860年)に辻利を創業した人物であり、世界遺産として名高い宇治の平等院正門横に銅像建立の誉れを受けております。

霧深い冷涼な山間部から良質な茶の産地として名高い宇治。江戸時代は徳川幕府より庇護を受け、また古より茶文化と密接な関わりを持つこの宇治で、「辻利」は生まれました。

1860年という幕末の動乱にあり、宇治の茶園は幕府の庇護を失い荒廃の一途を辿ることになります。

その様子を憂いた辻利右衛門は、内側にブリキを貼り付けた保存性の高い茶櫃(茶箱)を考案。

四季があり湿度の高い日本において、完全密閉した茶櫃にお茶を保存するというシンプルながら斬新な着想は日本茶の保存概念を革新したといえます。

明治という大量物流時代の前夜。茶櫃考案により宇治茶の販路拡大を成し得ただけではなく、高級日本茶の代名詞でもある玉露の茶葉を針金状の美しい形状に仕上げる「玉露製法」を確立し宇治茶復興に大きな貢献をしました。

こうした功績が讃えられ、冒頭に記述いたしましたとおり銅像が建立されたのです。



伝統と革新

辻利茶舗の歴史はまさに『伝統』と『革新』。

幕末に考案された茶櫃や玉露製法も、「伝統」を守りつつも新たなことに挑み続けた辻利のパイオニアである辻利右衛門による日本茶業界全体としての「革新」であったといえるでしょう。

私達辻利茶舗もまた、日本文化である茶の湯はもとより、茶文化という伝統を重んじながらも、お茶の世界を現代のライフスタイルや嗜好にマッチするように「革新」の手を緩めることなく邁進しなければならないと考えております。

北九州小倉の『辻利茶舗』

■京都「宇治」から新天地「小倉市」へ

小倉の辻利茶舗もまた、その創業を江戸時代萬延元年まで遡ります。

明治・大正期にお茶業界では隆盛の時代がありました。

そんな折、大正期(1923年)に京都の本店より九州最大の商都、「小倉」の地へ祖父母が支店長として赴任、現在の常盤橋東詰に店舗を構え、九州のお客様に宇治茶の販売を始めました。

1901年には官営八幡製鉄所に火が灯り、様々な国の船が行き来する海の銀座、関門海峡を擁する小倉は活気あふれる街並みでした。

そんな小倉の活気や人情、風情を気に入って、そのままこの地に居ついたのが私たち小倉の辻利茶舗の始まりです。

私たちが商いをさせて頂いている北九州は茶の産地ではありません。

しかし産地ではないからこそ、日本全国の良いお茶、良い商品に通じ、それらを斬新なアプローチで以ってお客様にご案内できると考えております。

■戦前の魚町商店街

現在の魚町銀天街を旦過市場方向から見た写真です。アーケードはありませんが活気が伝わって来ます

■戦前の小文字通り

現在の魚町銀天街南側より足立山や小文字山、安部山を臨んでます、山の形状は今と変わりません。馬が道路を舗装しているのが印象的です

■戦後まもなく丸和

日本初24時間営業という革新的サービスを開始した丸和設立当時の写真です

■現京町店の昔の写真

■昭和30年頃店内風景

コンビニもデパートもない時代、お茶は店内に山積みにされていました

■昭和30年頃の京町店

大正期に京都辻利の支店として九州に辻利が出来た歴史がが伺えます

■戦後京町通り常盤橋詰めより

当時京町銀座とよばれた地球儀が京町のシンボルでした

■現魚町店の昔の写真

■戦後魚町商店街

このころはまだアーケードがなく【銀天街】ではなく「商店街」でした ※アーケード昭和27年

■昭和30年代魚町銀天街

店と人があふれ、九州随一の都市として高度経済成長とともに発展しました

■昭和30年ごろ魚町店内

お茶が所せましと山積みされています。人々がお茶を買うために【マチ】に来た時代でした

■昭和期

高度経済成長や八幡製鉄所とともに九州随一の都市として発展した小倉市。時は流れ北九州市の誕生を迎え、辻利茶舗もまた小倉の地で多くのお客様に支持をいただきながら、ともに成長させていただきました。

現在魚町京町銀店街では戦前戦後から営業なさっておられるお店も多くありませんが、時代とともに様々な変化、改革が行われ北九州市民の皆様に親しまれる商店街となっております。

「マチに行こう!」

新たな令和の時代に、北九州の若い世代が地元を愛してくれるように、商店街のお店として出来ること、地元のお客様にご支援いただけるような店となるべく辻利茶舗は邁進致します。

日本全国にある「辻利」との関係性

辻利と名のつくブランドは京都をはじめ日本各地に多数ございます。

他地域の辻利様との関係についてですが、当方と他の辻利様とは簡単に申し上げますと親戚関係でございます。

1860年の創業当初は同じ【辻利】でしたが、その後親族に暖簾分け等が行われ、現在では完全に別法人として、それぞれの辻利がそれぞれの地域に根差し、お客様や関係各社の皆様方にご支援を賜りながら良質な日本茶を提供をさせて頂いております。

※1860年の辻利右衛門に端を発する「辻利」と名の付くお茶屋さんは京都にある4つのブランドをはじめ、東京や岡山や北九州の門司等全国にございます。(基本的に皆様親戚ですが完全に別法人です)